在庫管理の負担削減とリアルタイムデータ活用

Stockclowd/ストッククラウド活用事例
システム導入前編-2
(前回のシステム導入前編-1からの続き)
「管理レベルを上げる」ことの壁 ― 入力作業の負担と現場の理解
在庫管理を適正化するには、どうしても管理レベルを上げる必要がありました。
しかし、現場から見ればそれは「余計なPC入力作業が増える」ということでもあります。
これまでの管理は、製品名と手書きの見取り図だけ。
そこに賞味期限や数量の項目を追加し、一覧リストで管理する形に変えたのです。
正確さは向上したものの、現場では次第に負担感が強まっていきました。
入力の「完璧化」と引き換えに失われた時間感覚

当時、現場では入力項目を明確に定義しました。
最低限でも次の4つを必ず入力すること――。
- 商品CD
- ロケーション番号
- 賞味期限
- 残数量
一見、当然のように思えるこのルール。
しかし、これまで曖昧に「製品名だけ」で管理していた人たちにとっては、
“正確に入力する”という新たな負荷が大きな壁となりました。
実際には、管理レベルを上げたことで入力にかける時間が増え、
「現物を探す時間を短縮できる」という本来の効果が理解されていなかったのです。
つまり、曖昧な入力 → 探す大変さという旧来の苦労と、
正確な入力 → 探す必要のない効率という新しい価値の“交換関係”が、
現場に十分に浸透していなかったといえます。
紙ベースの限界 ― A3用紙10枚の在庫リスト
運用当初は、デジタル化前の「紙+Excel」併用による中間的な運用でした。
見取り図時代はA3用紙2枚で足りていたものが、
今度はラックごとに「商品CD」「商品名」「ロケーション番号」「賞味期限」「残数量」を
記入する必要があり、毎日A3用紙10枚近くをプリントしていました。
記入漏れがあれば現物を再確認。
記録をもとにExcelへ転記。
入力が終わるころには、すでに翌日の出荷準備が始まっている――。
現場からは「改善のはずが、作業が増えた」との声も上がりました。
リアルタイム性の欠如という新たな課題
もう一つの大きな問題は、データ更新のタイムラグでした。
入力は一日の作業が終わってから行うため、
リアルタイム性がなく、リストと実際の在庫がズレてしまうのです。
特に回転率の高い冷凍製品では、
午前中に記入した内容が午後にはすでに変わっていることも珍しくありませんでした。
入力精度を上げたにもかかわらず、更新の遅れによる差異が発生してしまう――。
これが、現場のモチベーションを下げる一因ともなりました。
「少しはまし」だが、根本解決には至らず

こうして始まった紙とExcelの併用管理。
見取り図時代に比べれば、データとして追えるようになった点で一歩前進でした。
しかし、リアルタイム性の欠如、入力負担の増加、人員不足の現実など、
副次的な問題が次々に顕在化し、在庫差異の根本的な解消までは至りませんでした。
つまり、「管理を正確にしただけでは解決しない」という教訓を得たのです。
この体験が、次のステップ――Power Appsを活用したストッククラウド開発へと
つながる大きな転機となりました。
(次回へ続く)

